サービス自慢の送迎会
「古きよきアメリカの伝統と、Wのノウハウを加味した、おしゃれな場に役員会では「景気回復の兆しが見られない日本に、今進出するのは得策でない」と、否決されてしまう。
「Fの伝統である古きよきアメリカの雰囲気を忠実に演出すれば、それほど宣伝しなくてもお客さまは必ず来てくれる。
そう確信していた」横浜西口店オープン初日は、開店の午後5時前から、入り口に客の列ができた。
ターゲットにしている20代後半の客だけでなく、勤め帰りのサラリーマンや、本場米国での評判を知る外国人の姿も見られるにぎわいぶり。
事前のPRといえば、電車の車内吊り広告を出しただけ。
優待チケットやちらし類の配布など目立った販売促進活動は、行わなかった。
1号店の渋谷神南店と同様、いわゆるサイレントオープンだが、開店2日目も若い女性を中心に客の流れは引きも切らない状態で、抜群のおいしさに1999年の米国研修でWは、Fを展開するに際しての課題の1つに「味の調整」を挙げた。
「主な商品料理を食べ続けたが、普通のおいしさだった。
抜群のおいしさに高めるにはどうしたらいいか、知恵を絞らなければならない」と、社内報で呼び掛けた。
フロントに立って客を出迎えたF社長のEは、ほっと胸をなでおろした。
ターミナル駅、横浜の駅前という立地条件を考え合わせれば、渋谷店の売り上げを上回る月商三千五百万円も可能、とEは踏んでいる。
Fの好調な滑り出しは、決して偶然の産物ではない。
綿密な市場分析、アメリカ本部のノウハウと精神を身に付けるための、たゆまぬ研究と努力に裏打ちされ「これまでの日本にはない、新しい食文化を提案する」というWの基本戦略と、これに基づくW社員の地道な研究成果の上に成り立っている。
Wは6年前から、管理職のロサンゼルス研修を続けている。
さまざまなテーマを掲げて展開する米国レストラン業界の多様な現状を肌で感じ、Wの経営に生かすためだ。
毎年2月に行われ、W自らが団長、講師役を務める。
2000年も13日から6日間の日程で開かれ、S任課長と課長候補の店長20人を引き連れ渡米した。
朝から晩まで、参考になるレストランを片端から食べ歩き、レポートにまとめる最終日には現地のスーパーで買い集めた食材を調理し、即席の「商品コンテスト」を開いた。
この時ばかりは、ハードな日程を忘れさせてくれる明るい笑顔が広がった。
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